生徒たちのアイデアや一瞬の輝きを逃さず、1フレームに思いを込める。写真を通して文化を切り取る秋田県湯沢市の湯沢翔北高校写真部の活動を紹介します。
カメラを片手に思い思いの被写体に向き合うのは、湯沢翔北高校写真部の部員たちです。現在1~3年生まで計35人が所属し、日々感性と技術を磨いています。
取材したこの日は、学校近くの公園で生徒一人一人が考えた自由なテーマをもとに撮影を行っていました。
「1対2みたいな」「縦で撮るか、横で撮るかもある」「縦で撮りたい」など、生徒同士で写真の構図について意見を出し合います。
その意見をベースに率先して撮影を進めるのは、3年生の栗林奏さんです。栗林さんは2025年11月、秋田市で開かれた県高校総合美術展の写真部門で、出品された748点の中から自身初となる「特賞」を受賞しました。
作品のタイトルは『心を燃やせ』。高校生の内に秘めた熱い思いを、実際の炎を用いて表現しました。
栗林さんは「実際に炎で制服を燃やしているように見えるところを重視して写真を撮った。自分が伝えたいことが伝わるように撮っている」と話します。
この作品は、2枚の写真を組み合わせ、手前の写真を燃やすことで炎の演出を加えています。
カメラマンの父親の影響もあり、幼い頃から写真に親しんできた栗林さん。本格的にカメラに取り組み始めたのは写真部に入ってからで、試行錯誤を重ねながら表現力を磨いてきました。
栗林さんは「水や炎など、普段はじっくりと見ないようなものをじっくりと撮ることが好き。『心を燃やせ』というタイトルなので、皆さんにどう受け取ってもらえるかは訪れた人に委ねるが、僕の写真を見てすごいなと少しでも写真に興味を持ってもらえたらうれしい」と話してくれました。
サクラにレンズを向けるのは、同じく県高校総合美術展の写真部門で「特賞」を受賞した2年生の武田美緒さんです。
武田さんは写真に強い興味を持ち、湯沢翔北高校写真部への入部を目標に中学生の頃からカメラの練習を重ねてきました。
『アイデア』という作品は、人が悩んだりひらめいたりする思考の過程を写真で表現しました。
武田さんは「人が色々と考えている様子や、たくさん悩んだり、良いアイデアが思い浮かんだりすることを1つにまとめた言葉として『アイデア』がちょうど良かった」とタイトルに込めた思いを語ります。
この作品は、光をためて暗闇で光る素材を使い、人の輪郭を浮かび上がらせることで思考が広がっていくイメージを強調しています。
「『アイデア』というのは誰でも考えたりすると思う。共感が得られるような作品」と話す武田さん。
7月に県内で開かれる第50回全国高校総合文化祭(あきた総文2026)では、全国から選ばれた約300作品が展示されます。湯沢翔北高校からは、栗林さんと武田さんを含め3人の作品が出品される予定です。
栗林さんは、写真への思いを「動画と違い一瞬。1つの画角でしか撮れないので、そこに伝えたいことをしっかり込めることを大事にした写真が大切だと思う」と語ります。
また、武田さんは「自分が見て『きれい』と思ったり、写真として残しておきたいとビビッときたときに撮るようにしている」と話します。
一瞬を切り取り、思いを伝える。若き写真家たちは、きょうもシャッターを切り続けます。
04月29日(水)19:00