上智大学の研究チームは、AI=人工知能が遭遇リスクを予測するシステムを開発し公開しています。システムは地図を1キロ四方に区切り、AIに、クマダスの目撃情報や人口分布、クマの餌となるブナの実がなる落葉樹の分布などのデータを学習させます。2025年10月以降は「川の予測」も取り入れ、遭遇リスクの的中率が70パーセントまで上昇しています。川の予測に当たってはAIができない現地調査を反映させています。人の目で見た土地の特徴を学習させることで、リスクをより正確に予測し、クマによる被害防止を目指します。秋田市の旭川流域の調査を取材しました。
開発グループの中心、上智大学の深澤佑介准教授が訪れたのは、秋田市の濁川地区を流れる旭川です。
上智大学・深澤佑介准教授:
「2025年に秋田県内で非常に出没が多発した際、濁川地区の旭川で非常に多発していた。環境状況を見ると、落葉樹などクマと遭遇しやすい環境が多くなっていて、そのような場所がどうなっているのか確認したい」
クマダスによりますと、濁川地区は2025年度、60件以上のクマの目撃情報が寄せられました。ほとんどが10月から11月で秋に集中していたことが分かります。また6月は22日までに6件の目撃情報が投稿されています。
フィールドワークで確認するのは、落葉樹があるか、川のやぶの状態、川の水の深さ、周辺に民家があるかなど地図上では分かりにくい情報です。さらに整備の状況も重要なポイントです。
深澤准教授:
「岸壁が工事されておらず、自然のままになっているためクマとしては川に下りやすい環境になっているのではないか。断続的にやぶが連なっていてクマが隠れやすい場所になっているのではないか」
深澤准教授は現地の状況を次々と撮影し、AIに学習させました。さらに深澤准教授は川の上流と下流域のクマの出没に因果関係があると仮説を立てました。予測マップを見ると2カ月以内にクマが目撃された場所、×印が集中している場所が下流域にあります。秋田市内の大町地区です。
クマダスによりますと地区では5月、複数のクマの目撃情報が寄せられました。予測マップは川が赤く表示され、出没の可能性が高い場所です。川沿いを歩いてみると上流のようなやぶはなく、河岸はコンクリートで整備されています。
深澤准教授:
「河岸が工事されているところは一定の間隔の間に人が川まで下りられる階段のようなものがあり、クマが階段を利用して川から上り、道路に出てくる可能性がある」
このように上流と下流で環境が異なるにもかかわらず、いまはAIが同じ川として扱ってしまいます。
深澤准教授:
「机上だけで見ているとデータで終わってしまうが、現実で訪れると環境要因がまったく違うことがあるため、注意しながら今後も精度向上に努めたい」
「クマによる被害をゼロにしたい…」人とAIが力を合わせた取り組みは改良を続けています。
06月23日(火)19:00