平成以降、国内最大規模の面積を焼失した岩手県大船渡市の山林火災は9日、延焼の危険がなくなったとして「鎮圧」が発表されました。この火災では全国各地から消防隊が集まり、懸命な消火活動に臨んできました。秋田の消防本部から現地に赴いた隊員が、困難を極めた当時の状況を話してくれました。
岩手・大船渡市で2月26日に発生した山林火災は、平成以降国内最大規模の面積2900ヘクタールを焼き、男性1人が死亡しました。
現在もまだ消火活動が続いていますが、発生から12日がたった3月9日、「延焼の可能性がなくなった」と鎮圧の状態に至ったことが発表されました。
避難指示は解除され、約10日ぶりに住宅に灯りが灯った地域もあり、住民が元の暮らしを取り戻しつつあります。
その裏には消防の過酷な消火活動がありました。国からの要請で全国各地の緊急消防援助隊が現地に集結。秋田県内の消防本部からは3月10日までに575人の隊員が派遣され、活動にあたっています。
このうち3月7日に秋田に戻ったのは、秋田市消防本部から三次隊として派遣された24人。リーダーを務めたのは、城東消防署の消防司令・川井健一消火隊長です。
大船渡市三陸町綾里地区での活動を指示された川井隊長は、現場に向かうまでに見た光景が目に焼き付き、忘れられないと話しました。
城東消防署・川井健一消火隊長:
「ほとんどの山々が黒く焼け焦げて炭化して、民家という民家が飛び火して消失してなくなっているような状態で、ショッキングな現場だった」
川井隊長らは木のくすぶりや白煙が出ている堆積物を処理しながら拡大を防ぎました。一方で、家をなくした住民を思いながら悔しさをにじませました。
川井健一消火隊長:
「全焼して消失してしまったと、家を失った人たちのことを思うといたたまれない気持ちになった」
日に日に燃え広がり、予断を許さない状況だった今回の山林火災。極めて過酷な消火活動を通じて、川井隊長は「秋田でも起こり得る」と改めて痛感したといいます。
川井隊長は「大船渡市は太平洋側の三陸リアス海岸で秋田とは違うところではあるが、秋田でいうと男鹿半島。海沿いを走る景色が似ているところがある。気象状況によって乾燥していると、一度山火事が起きると延焼拡大する可能性があると改めて私自身痛感した。これからも県民の皆さんに火災予防を推進していきたいと思う」と語り、今後の火災予防活動に生かしていくことを誓っていました。
03月10日(月)21:00